各種破壊

評価試験

厚板減少やくびれ等の変形が大きく、シャーリップ及び繊維状で光沢のない波面を見せる

鈍い光沢で凹凸のある破面が見られ、十分に変形して破壊する。

破面は平坦で、亀裂部に貝殻模様(ビーチマーク)と呼ばれる山形模様が見られる

  • 疲労は金属材料全般でみられる
  • 一般に荷重の繰り返しによってき裂の発生、進展が起こり、破断に至る現象である。塑性降伏しないような低荷重においても起こり、破断するまでの繰り返し数(寿命)は作用荷重に依存する
  • 鋼溶接継手の疲労強度を著しく低下させるのは表面欠陥である
  • 溶接継手の疲労に最も影響する因子は応力集中と引張残留応力である
  • 疲労破壊は繰り返し応力の振幅と破断に至るまでの繰り返し数の関係として評価される。この関係表す曲線をS-N曲線という
  • 溶接継手の疲労限界は明確でない場合が多く、通常は疲労強度の代わりのに時間強度が用いられる
  • 時間強度に使われる繰り返し数は一般に200万回程度である
  • 溶接継手の疲労強度改善には、応力集中の低減と残留応力の低減が有効である
    【応力集中の低減】
    ⇒グラインダによる余盛研削
    ⇒余盛始端部のを滑らかに仕上げる(グラインダ研削やTIGドレッシングなど)
    ⇒ビード不整(アンダカットやオーバーラップ)が生じないようにする
    ⇒裏当て金やエンドタブなど応力集中をもたらす付加物を除去する
    ⇒応力集中の小さい継手形状を選択する
    ⇒部分溶け込み溶接をしない(完全溶込み溶接の採用)
    ⇒角変形が生じないようにする
    ⇒目違いをなくす
    【残留応力の低減】
    ⇒溶接後熱処理(PWHT)
    ⇒余盛始端部のピーニング
    ⇒溶接順序を工夫して、荷重方向の残留応力が大きくならないようにする
    ⇒低変態温度溶接材料の使用によって、余盛始端部に圧縮残留応力を生成する
    ⇒低温応力緩和法を施す
    ⇒特記:高強度な溶接材料の使用は効果がない
  • 作用応力の方向に垂直で、平坦な破面である
  • 貝殻模様あるいはビーチマークと呼ばれる、き裂進展方向に垂直な縞状の模様が確認される
  • ストライエーションが見られる

破面は銀白色のきらきらした光沢を示し、シェブロンパターンと呼ばれる山形模様が見られる

  • ぜい性破壊の生じる3要因は、引張応力、き裂・切り欠き(応力集中)、低じん性(低温、高ひずみ速度)である
  • ぜい性破壊に対する抵抗を評価するのは、吸収エネルギーである
  • 巨視的にはそ塑性変形を伴わず、高速にき裂が進展する
  • 破面の特徴は、
    ⇒キラキラした光沢がある
    ⇒シェブロンパターン(山形模様)が観測される
    ⇒リバーパターンが観測される
    ⇒破面は平坦で凹凸が少ない
  • 構造用鋼のシャルピー吸収エネルギー(切り欠きじん性)は、ある温度以下(低温)で著しく低下し、ぜい性破壊する。その改善にはNiの添加が有効であり、9%まで添加した鋼が低温用鋼として用いられている。
  • ぜい性破壊防止のために、破面繊維温度が低く、使用温度での吸収エネルギーの高い材料を選定するとよい

シャルピー衝撃試験結果

材料のぜいせい破壊に対する抵抗「ねばり」をじん性とよぶ。じん性を評価する最も代表的な試験がシャルピー衝撃試験である。吸収エネルギーを試験温度に対して示したものをエネルギー遷移曲線といい、破面に現れたぜい性破面の面積率(破面率)と試験温度の関係として示した ものを、破面繊維曲線とよぶ。

  • 上部棚エネルギー:吸収エネルギーは、高温側ではほぼ一定で、これを上部棚エネルギーとよぶ
  • 下部棚エネルギー:試験温度がある温度以下になると、吸収エネルギーは急激に低下し、下部棚エネルギーを示す
  • 下部棚温度でのぜい性破面率:100%
  • 上部棚温度でのぜい性破面率:0%
  • ぜい性破面率(延性破面率)が50%となるときの温度を、破面遷移温度という
  • 静的な応力作用下で、時間とともに変化が進行して最終的に破断する破壊を、クリープ破壊という
  • 高温強度は、特にクリープ強度が重要である。Mo(モリブデン)の添加が特に有効である。Crは1%までの添加は有効であるが、それ以上の増加による効果は小さい

厚さhの平板を先端半径Rの押し金具で曲げるローラー試験を考える。曲げ試験で平板は押し金具に沿って半円状に変形し、中立面は平板厚さ中央に存在するとして各設問に答えよ

  • ①曲げ試験時の中立面での半円の円周長さはいくらか。
    ⇒円周=直径×π。平板厚さ中央は中央に存在する為に、図の点線部分となる。円の中心部分から平板厚さ中央までの距離はR+h/2となる為、円周=2×(R+h/2)×πとなり、半円の円周は(R+h/2)×πとなる
  • ②曲げ試験時の平板外面での半円の円周長さはいくらか
    ⇒円周=直径×π。円の中心部分から平板厚外面までの距離はR+hとなる為、円周=2×(R+h)×πとなり、半円の円周は(R+h)×πとなる
  • ①と②により、曲げ試験時の平板外面のひずみはいくらか
    ひずみ=変形長さ/力を加える前の長さ。力を加える前の長さは上記①とするので、ひずみ=②-①/①となり、(R+h)π-(R+h/2)π/(R+h/2)π⇒h/(2π+h)となる
  • 平板外面のひずみを20%以内にするには、曲げ半径Rを開いた厚さhの何倍以上にすればよいか
    h/(2π+h)≦0.2を満たす。⇒R≧2hとなる。すなわち、曲げ半径Rを平板厚さhの2倍以上にすればよい
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