材料力学(ざいりょうりきがく、Strength of Materials または Mechanics of Materials)とは、構造物や部品が外力を受けたとき、どのように力が伝わり、変形・破壊するかを解析する工学の分野です。

✅ 材料力学とは?一言でいうと…
「材料にかかる力と、その結果生じる変形・応力を理解する学問」
🔧 何のために学ぶの?
建築、橋梁、自動車、機械、ロボットなど、どんな構造物や製品も「壊れず、安全に機能する」ことが求められます。
材料力学を学ぶことで以下がわかるようになります:
- どれくらいの荷重に耐えられるか?
- どの部分に力が集中するか?
- 変形はどの程度か?
- 破壊や座屈が起きるのはどの条件か?
📚 主な学習内容
内容 | 説明 |
---|---|
応力 | 材料の内部に発生する力の分布(単位:N/mm²) |
ひずみ | 材料の変形の割合(元の長さに対する変化の割合) |
フックの法則 | 応力とひずみが比例する関係(弾性領域内) |
曲げ | 梁などがたわむときの内力と変形 |
ねじり | 軸などがねじれるときの応力と角変位 |
せん断 | 板がズレるような力(例:ハサミのような力) |
座屈 | 細長い柱が押されて急に曲がって壊れる現象 |
破壊強度 | 材料が破壊するまでに耐えられる最大応力 |
✍ 例題(ごく簡単なイメージ)
長さ1mの鋼の棒に1000Nの引張力をかけたら、何mm伸びるか?
このような問題を、**材料のヤング率(E)や断面積(A)**などの物性値を使って解くのが材料力学です。
🏗 材料力学が使われる場面
- 建物や橋の耐震設計
- 自動車のシャーシ強度解析
- 航空機の翼の荷重分布
- 工具やボルトの安全設計
- 溶接部や接合部の応力確認
材料力学の具体例
一辺が10cmの正方形の断面を有する長さ1,000mmの鋼製の角材に10kNの引張荷重が作用するとき、棒の伸びはいくらか。鋼のヤング率(縦弾性係数)を200kN/㎟とする
- 角材に作用する応力は、引張荷重/断面積となる
- ⇒(10×1000)/(10×10)
⇒100N/㎟ - ひずみは、応力/ヤング率より、
⇒100/(200×1000)
⇒0.0005 - 伸びは、ひずみ×棒の長さより、
⇒0.0005×1000
⇒0.5mm
一様な引張応力が作用する広幅平板に小さな円孔が存在する場合、円孔端での応力集中係数はいくらか
- 3
両端が閉じた内圧を受ける薄肉円筒に生じる周方向応力と軸方向応力は
- 周方向応力=2×軸方向応力
⇒周方向応力は、軸方向応力の2倍
鋼材が純粋せん断を受ける場合の降伏強さは引っ張り降伏強さの何倍か
- 約0.6倍