レーザー溶接

溶接法
  • 発振器で作られた波長と位相がそろった光(レーザー光)をレンズで細く絞って照射することによって、母材を加熱・溶融させて接合する方法である
  • 近年は、YAGレーザーやファイバーレーザーのように波長が1.06μm程度のレーザー光がよく利用されている
  • 波長1.06μm程度のレーザー光は、ミラーを利用した伝送だけでなく、光ファイバーを利用した伝送も可能である
  • レーザー光は金属表面で反射されやすく、材料の種類や表面状態によってレーザー光の吸収率は変化する。一般に、アルミニウムや銅及びそれらの合金の溶接では鋼板の場合に比べて光の吸収率が低い(良く反射する)
  • レーザー溶接では、溶接部で発生する金属蒸気やプラズマ化したガスのレーザー光衰退への影響が無視できない

レーザー溶接(Laser Welding)は、高エネルギー密度のレーザー光を熱源として金属を接合する溶接法です。自動車、電子部品、精密機器、航空宇宙産業など、高精度・高品質・高速処理が求められる分野で広く使用されています。


🔍 レーザー溶接の概要

● 原理:

レーザー光(集光された強い光エネルギー)を金属表面に照射すると、局所的に金属が瞬時に加熱・溶融・凝固し、母材同士が接合されます。

● 使用される主なレーザー:

レーザーの種類波長特徴
CO₂レーザー10.6 μm切断に多い。反射率の高い金属には不向き。
ファイバーレーザー1.06 μm金属への吸収率が高く、精密溶接に適する。
Nd:YAGレーザー1.06 μmパルス制御可能、細かい溶接に向く。

✅ 特徴と利点

項目内容
高精度微細で狭い溶接幅(数ミクロン~数ミリ)で、高精度な接合が可能。
低ひずみ熱影響が局所的で小さいため、溶接による歪みや変形が極めて少ない。
高速処理自動化しやすく、数 m/min 以上の高速溶接が可能。
非接触溶接ツールが金属に直接接触しないため、摩耗や汚染がない。
多様な材料対応鉄鋼、ステンレス、アルミ、チタン、銅、ニッケル合金など広い材料に対応可能。

🔧 主な溶接モード

モード名特徴
熱伝導モード表面のみを加熱し、浅く広い溶け込み。薄板や電子部品に使用。
キーホールモード金属内部まで深く溶け込み、深い貫通溶接が可能。厚板や構造材向け。

🏭 主な用途

  • 自動車のボディ部品(ドア、ルーフ、バッテリーケースなど)
  • ステンレス薄板の連続溶接(流し台、配管)
  • 精密機器(医療機器、センサー、電子部品)
  • 航空宇宙(チタン合金、軽量化部材)

⚠️ 注意点・課題

項目内容
機器コストレーザー装置自体が高価(ただし近年は低価格化が進行中)
反射材の溶接アルミや銅など反射率の高い金属では、吸収効率が低く加工が難しい場合がある。
ギャップ感受性材料間の隙間(ギャップ)に敏感で、接合面の精度が必要。
安全対策レーザーの強い光による目や皮膚への危険があるため、遮光や安全対策が必須。

🔄 他の溶接法との比較(概要)

比較項目アーク溶接レーザー溶接
熱源電気アークレーザー光
精度非常に高い
熱影響小さい
スピード普通非常に速い
自動化適性やや高い非常に高い
初期投資安価高価

✅ まとめ

レーザー溶接は、高精度・低歪み・高速処理・自動化対応という特性から、次世代の製造技術として非常に重要な溶接法です。特に近年はファイバーレーザーの進化によって、産業現場への導入が加速しています。

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