可動鉄芯型溶接電源

溶接電源
  • 被覆アーク溶接に用いられる溶接電源
  • 動力用三相交流電源の3本線のうちの2線に接続する
  • 交流アーク溶接機では、機械的に溶接電源を調整する可動鉄新型溶接電源が現在でもよく利用されている

詳細

■ 概要

可動鉄芯型溶接電源とは、変圧器の鉄芯の一部を可動にすることで、出力電圧や電流を調整できる構造の溶接電源です。主に交流アーク溶接機(ACアーク溶接機)に使われる方式の一つです。


■ 図解

■ 仕組み

通常の溶接用変圧器は、1次側(高電圧)と2次側(低電圧・高電流)で構成されますが、可動鉄芯型では、鉄芯の一部(磁気回路の一部)がスライドまたは回転して動かせるようになっています。

  • 鉄芯の位置を変えることで磁束の漏れが変化します。
  • これにより変圧器の結合度(結合係数)が変わり、2次側の電圧・電流が調整できます。
  • 通常、出力電流が減少すればアークが安定しにくくなるため、溶接条件に応じてなめらかに電流調整できる点が特徴です。

■ 特徴

特徴説明
✅ 出力電流の連続調整が可能アークの安定性を高める
✅ 構造が比較的シンプル故障が少ない
✅ メンテナンス性が高い可動部の点検は必要だが構造は単純
❌ 応答速度が遅い機械的に動かすため調整に時間がかかる
❌ 小型化が難しい可動部と大きな鉄芯を持つため重くかさばる
❌ 高効率とは言いがたい磁束の漏れによるロスが発生しやすい

■ 用途

  • 一般的な手動アーク溶接(被覆アーク溶接)
  • 小規模工場や建設現場など、連続的な高精度制御を求めない用途
  • 比較的コストを抑えた機器として利用されます

■ 他方式との比較

種類電流調整方法特徴
可動鉄芯型鉄芯の位置を動かすメカ的で連続調整可能、シンプル
タップ切替型巻線の接続点を切替段階的、調整範囲が限定される
サイリスタ制御型電子制御(位相制御)応答性が高く高精度だが複雑
インバータ型高周波スイッチング小型・軽量・高効率、高価
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