🔷 溶接継手荷重の計算方法(基本手順)
① 溶接部に働く力(荷重)を把握する
- 外力(例:引張力、せん断力、曲げモーメント、ねじりなど)
- 荷重の大きさ・方向・作用点
- 継手の形状(突合せ・すみ肉など)
② 溶接の種類と有効断面積を決定する
溶接種類 | 有効断面積の求め方 |
---|---|
突合せ溶接(完全溶け込み) | 材料厚さ × 溶接幅(=母材幅) |
すみ肉溶接 | 有効のど厚(h)× 溶接長 × √2/2(45°方向でせん断を考慮) |
- のど厚(h):すみ肉の短辺(脚長)をaとすると、
h = a × sin(45°) ≒ 0.707a
③ 許容応力(σa)を確認する
- 材料の種類・溶接法・溶接種類により異なる
- JISや設計基準に定めあり
(例:軟鋼のすみ肉溶接なら σa ≒ 150 N/mm² 程度)
④ 必要な溶接断面積を求める
荷重 P に対して溶接が耐えられるか確認する
必要断面積 A = P / σa
⑤ 実際の溶接断面積と比較
実際の溶接断面積 A realが 必要断面積 A 以上であればOK。
🔶 すみ肉溶接の例(簡単な計算)
条件:
- せん断荷重:30 kN
- 脚長 a = 6 mm
- 溶接長さ L = 200 mm
- 許容せん断応力 σa = 140 N/mm²(仮定)
計算:
- のど厚 h ≒ 0.707 × 6 = 4.24 mm
- 有効断面積 A = h × L = 4.24 × 200 = 848 mm²
- 溶接が耐えられる力
P = A × σa = 848 × 140 = 118,720N = 118.7kN
→ 与えられた荷重 30 kN は 十分耐えられる
✅ ポイントまとめ
項目 | 内容 |
---|---|
必要なのは? | 荷重・応力・断面積の関係 |
主な公式 | A=P/σa |
すみ肉の計算注意 | 脚長 → のど厚 → 有効断面積に換算 |
許容応力 | JISや基準書で確認(材料・溶接方法による) |