■ 1. SS鋼(SS材)
Steel Structure(構造用圧延鋼材)
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | SS鋼(例:SS400) |
用途 | 建築構造物、橋梁、機械部品など汎用的 |
特徴 | 引張強さに基づく分類で、溶接性・加工性が良い |
規格 | JIS G 3101「一般構造用圧延鋼材」 |
代表的な記号 | SS330、SS400、SS490、SS540(数字は最低引張強さ MPa) |
🔧 例:SS400 は、引張強さ400MPa以上の構造用鋼材。
■ 2. SM鋼(SM材)
Steel for Mechanical structures(機械構造用鋼材)
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | SM鋼(例:SM400) |
用途 | 鉄道車両、機械フレーム、クレーン、プラントなど |
特徴 | 溶接性、靭性、耐久性がSS材より高く、機械的特性に優れる |
規格 | JIS G 3106「溶接構造用圧延鋼材」 |
代表的な記号 | SM400、SM490、SM520、SM570 など(引張強さ・靭性による) |
🏗 例:SM490Y は、溶接性・靭性に優れた490MPa級の鋼材(Y:靭性保証)
■ 3. SN鋼(SN材)
Steel for building structures with guaranteed notch toughness(切欠き靭性保証構造用鋼材)
項目 | 内容 |
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名称 | SN鋼(例:SN400B) |
用途 | 建築構造物(柱、梁、接合部)、高靭性が求められる部位 |
特徴 | Z方向靭性(ラメラティア対策)を保証した建築専用材 |
規格 | JIS G 3136「建築構造用圧延鋼材」 |
分類記号 | SN400A/SN400B/SN490B など(Bはより靭性が高い) |
🏢 例:SN490B は、引張強さ490MPa、靭性保証が付いた建築用鋼材。
■ まとめ比較表
規格記号 | 意味 | 用途 | 特徴 |
---|---|---|---|
SS | 一般構造用鋼材 | 汎用部材・建築・橋梁 | 加工・溶接性良好、安価 |
SM | 機械構造用鋼材 | 車両・機械・重構造物 | 強度・靭性に優れる |
SN | 建築構造用鋼材 | 建物の柱・梁・接合部 | Z方向靭性保証、ラメラティア防止対応 |
規格と科学成分の比較(規格の有無)
- 材料名:SS400 ⇒ 400は引っ張り強さの下限値を表す
記号 | C | Si | Mn | S | P | Ceq | Pcm |
---|---|---|---|---|---|---|---|
SS400 | × | × | × | 〇 | 〇 | × | × |
SM400 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | × |
SN400A | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × | × |
SN400B | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
SN400C | ◎ | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 |
- Si:珪素、S:硫黄、P:リン、Ceq:炭素当量、Pcm:割れ感受性組成
- SS材、SM材、SN材のいずれの鋼種にも含有量の上限値が規定されている元素は、P(リン)とS(硫黄)である
- SN材には、A種、B種、C種があり、B種及びC種には溶接性の観点(溶接部の最高硬さと密接に関係)から、A種にはない炭素当量の上限値が定めれれている。 また、ラメラティア防止のためC種のS(硫黄)の上限値はA種より低く規定されている
- SM400に関しては、A種B種C種の順で炭素の上限値は低くなっている
規格と科学成分の比較(機械的性質の有無)
記号 | 切り欠きじん性 | 厚さ方向絞り | 降伏比 | 耐力 | 引張強さ |
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SS400 | 〇 | 〇 | |||
SM400A | 〇 | 〇 | |||
SM400B | 〇 | 〇 | 〇 | ||
SM400C | 〇 | 〇 | 〇 | ||
SN400A | 〇 | 〇 | |||
SN400B | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | |
SN400C | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 |
◎:上下限値の設定
- 切り欠きじん性は、狭義ではシャルピー吸収エネルギーをいう。
- SM490YBはSM490Bよりも、降伏点または耐力を高めている
- SM490YはSM490より降伏点または耐力が40N/㎟高い
- 建築構造用(SN鋼)にはA、B、Cの3種がある。板厚12mm以上のB種とC種には、降伏比と耐力の上下限値が規定されている これは、大地震の際などに大きな塑性変形能を確保するためである。
- SN材には、A種、B種、C種があり、C種はラメラティア防止のため、板厚方向の絞りを規定している
- 溶接構造用圧延鋼材SM400には、A、B、Cの3種があり、C種では、0℃でのシャルピー吸収エネルギーが47J以上と規定されている
- 建築構造用圧延鋼材SN400には、A、B、Cの3種があり、B種とC種ではA種やSM材にない、降伏比の規定があり、80%以下と規定されている
炭素当量
- 鉄鋼及びその溶接部の性質は炭素量によって大きく左右される。Mn、Ni、Mo、Crなどの合金元素によっても影響を受ける。この影響の度合いを炭素量に換算したものを炭素当量と予備、 溶接熱影響部の最高硬さの指標としてよく用いられる