金属の切断の種類

動作機構

母材方法エネルギー分類特機
低炭素鋼
軟鋼
ガス切断化学的エネルギー酸素と鉄の酸化熱
ステンレス鋼パウダ切断化学的エネルギー
ステンレス鋼レーザー切断光学的エネルギー薄板を最も高性能で切断可
ステンレス鋼ワイヤカット
セラミック
鉄筋コンクリート
アブレシブウォータージェット力学的エネルギー
紙、ゴム、
プラスチック
純水ウォータージェット力学的エネルギー
ステンレス鋼
アルミニウム合金
プラズマアーク切断電気的エネルギー35mm以上の厚板ステンレス鋼板に推奨
アルミニウム合金エアプラズマ切断

  
  

ステンレス鋼に通常のガス切断ができない理由

  • 酸化物(クロム酸化物)の融点が母材より高い
  • スラグが切断表面を覆って、燃焼(酸化反応)を妨げる
  • スラグの流動性が悪く、切断面に強固に付着する
  • 付着したスラグが剥離しにくい

特記

  • 板厚50mm程度以上の軟鋼板を簡単に熱切断する為にはガス切断が適している
  • 薄鋼板の高品質切断にはレーザー切断が適している
  • 薄鋼板のレーザー切断には酸素がアシストガスとして推奨される
  • 手動式小電流プラズマ切断機で最もよく利用されている作動ガスは空気である

金属切断の詳細説明

金属の切断方法には多くの種類があり、目的・材質・板厚・精度・コスト・作業環境によって最適な方法が異なります。以下に代表的な金属の切断方法を「機械的切断」「熱的切断」「その他の特殊切断」の3分類で詳しく解説します。


🔧 1. 機械的切断(Mechanical Cutting)

1.1 シャーリング(せん断切断)

  • 原理:上下の刃で金属をはさみ、せん断力で切断
  • 特徴
    • 精度が高く、量産向き
    • 板厚3〜12mm程度まで対応(機種による)
    • バリが出やすいことがある
  • 用途:鋼板、アルミ板の直線切り

1.2 ノコギリ切断(バンドソー・丸鋸など)

  • 種類
    • バンドソー(帯鋸)
    • チップソー(超硬刃)
    • 丸鋸(ディスクカッター)
  • 特徴
    • 高精度、厚板も可能
    • 切断速度はやや遅め
  • 用途:パイプ、形鋼、丸棒、厚板

1.3 プラズマ切断機・ガイド付き切断機(半自動機械式)

  • 機械制御で軌跡をトレース
  • プラズマやトーチなどの切断ヘッドをガイド制御

🔥 2. 熱的切断(Thermal Cutting)

2.1 ガス切断(酸素-アセチレン/プロパン)

  • 原理:金属を加熱後、酸素で酸化燃焼させて切断
  • 特徴
    • 厚板(〜300mm以上)に対応可能
    • 炭素鋼専用(ステンレスやアルミは不可)
    • コスト安いが切断速度は遅め
  • 用途:厚板鋼材、H形鋼の現場切断など

2.2 プラズマ切断

  • 原理:プラズマアークで金属を融解・吹き飛ばして切断
  • 特徴
    • 高速・高精度
    • 炭素鋼・ステンレス・アルミなど幅広く対応
    • 板厚:薄板〜中厚板(最大50mm程度)
  • 用途:鉄板加工、ダクト製作、工作機械部品など

2.3 レーザー切断(CO₂レーザー、ファイバーレーザー)

  • 原理:高出力レーザー光で金属を瞬間加熱し、切断
  • 特徴
    • 高精度、バリが少ない、細かい輪郭可
    • 板厚:〜25mm程度(材質による)
    • 高コスト(設備費が高い)
  • 用途:精密部品、自動車部品、薄板加工

2.4 エレクトロスラグ切断(溶断の一種)

  • 大型鋼構造物の分離用に用いられる特殊な溶断方法
  • 溶融金属で構造を切断(再利用不可)

🧪 3. 特殊・非接触切断(Other Methods)

3.1 ウォータージェット切断

  • 原理:高圧水(+研磨材)で金属を物理的に削る
  • 特徴
    • 熱影響がない(熱変形ゼロ)
    • 精密・複雑形状にも対応
    • コストやや高い
  • 用途:ステンレス、チタン、銅、複合材など

3.2 放電加工(ワイヤーカット)

  • 原理:電気火花で金属を除去して切断
  • 特徴
    • 極高精度(μm単位)
    • 伝導性のある金属に限定
    • 加工速度は遅い
  • 用途:金型部品、超硬合金、精密部品

📝 各切断法の比較(一覧表)

切断方法精度板厚対応材料汎用性熱影響コスト備考
シャーリング薄〜中厚△(直線のみ)バリ注意
ガス切断厚板炭素鋼のみあり現場向け
プラズマ中厚多用途
レーザー薄〜中厚精密向き
ウォータージェット薄〜中厚熱影響ゼロ
ワイヤーカット任意◎(導体のみ)超精密加工

🧭 用途別おすすめ

用途推奨切断法
精密部品・電子機器レーザー、放電加工、ウォータージェット
厚板鋼材ガス切断、プラズマ切断
鋼板の直線切断(量産)シャーリング
建設現場・補修作業ガス切断、ポータブルプラズマ
薄板ステンレスレーザー、ウォータージェット
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