SO 15607:2000(JIS Z 3420)「溶接金属材料の溶接施工要領とその承認一般原則」、ISO 15609-1:2000(JIS Z 3421-1)「アーク溶接の溶接施工要領書」についての説明
溶接施工
溶接施工要領(案) | pWPS | 承認前の溶接施工要領書 仮の溶接施工要領であり、未承認であるが製造事業者によって適切とみなされている文書 |
溶接施工法試験 | WPQT Tはtest | 鋼の突合せ時、継手引張試験は必須 |
溶接施工承認試験 | WPAR Rはreport | 承認前の溶接施工要領書(pWPS)を承認するために必要とするすべてのデータを含む記録。溶接材料の承認等も含む |
溶接施工要領 | WPS | 承認された溶接施工要領書 開先形状記載は必須 |
溶接施工要領に記載する項目
- 母材の種類(材料の種類及び引用規格、材料区分番号)
- 材料の寸法(継手の板厚範囲、管外径の範囲)
- 溶接方法
- 継手形状及び寸法
- 溶接姿勢
- 開先加工(開先清掃、脱脂、ジグ止め及びタック溶接、開先加工の方法)
- 溶接技術に関する項目
- 裏はつり(裏はつりの方法)
- 裏当て(裏当ての方法・種類、材質及び寸法)
- 溶接材料の種類
- 溶接材料の寸法
- 溶接材料の取り扱い及び保管
- 電気的なパラメータ(電流の種類・極性、電流範囲、パルス条件)
- 機械化溶接及び自動溶接(溶接速度の範囲、ワイヤ供給速度の範囲)
- 予熱温度
- パス間温度
- 予熱保持温度
- 水素放出の為の後熱
- 溶接後熱処理
- シールドガス
特記
- 溶接必須確認項目をエッセンシャルバリアブルといい、溶接継手の品質に絵協を与える重要な項目をいう
⇒溶接法、溶接後熱処理条件、開先形状 等。
⇒溶接長はエッセンシャル・バリアブルではない
780N/㎟級高張力鋼(板厚40mm)を用いたサブマージアーク溶接の溶接施工要領での必須確認項目(エッセンシャルバリアブル)のうち、拡散性水素に関連する特に重要な項目とそれらが拡散性水素とどのように関連しているかを示す
- 【重要な項目①】
溶接材料の種類 - 【拡散性水素との関連①】
フラックスの種類によって拡散性水素が異なり、その量が少ないフラックスの選択が有効である。一般には、溶融フラックスよりボンドフラックスの方が拡散性水素を少なくできる - 【重要な項目②】
溶接パラメータ(溶接電流、アーク電圧および溶接速度)または溶接入熱 - 【拡散性水素との関連②】
入熱量で溶接部の冷却速度が決まる。入熱量が大きい条件ほど冷却が遅くなり、溶接部に残留する拡散性水素量を少なできる - 【重要な項目③】
予熱・パス間温度 - 【拡散性水素との関連③】
予熱・パス間温度が高いほど、溶接部の冷却速度が遅くなり、拡散性水素量を少なくできる。高い予熱・パス間温度は、水素の放出に効果的となる - 【重要な項目④】
水素放出の為の直後熱 - 【拡散性水素との関連④】
溶接部の拡散性水素量を低下させるため、温度と時間を設定して溶接後速やかにこの作業を行う。通常、200-350℃、0.5-2時間保持程度の条件が用いられる - 【重要な項目⑤】
溶接材料の取り扱い及び保管 - 【拡散性水素との関連⑤】
フラックス中の吸湿水分を低下させるため、使用前の乾燥を行う。乾燥後は、再吸湿の防止に留意してフラックスを保管する。これら作業で拡散性水素の増加を防止できる