超高圧(3,000~6,000 bar程度)に加圧した純水を細いノズルから噴射し、その細く鋭いジェットの運動エネルギーで材料を切断する方法です。
素材への熱影響がゼロで、バリや変色もなく、柔らかく繊細な材料の加工に最適です。
⚙️ 原理と構造
🔧 主な構成機器
| 装置 | 役割 |
|---|
| 高圧ポンプ | 水を4,000 bar前後まで加圧 |
| ノズル(オリフィス) | 直径0.05~0.15mmの極細孔から水を噴射 |
| CNC制御装置 | 加工形状を制御する自動制御テーブル |
| 水処理ユニット | 不純物を除去し、純水状態を保つ |
🧪 特徴
| 特徴 | 説明 |
|---|
| 🔥 非熱加工 | 加工時に発熱しないため、熱変形や焦げ・変色が起きない |
| 🌊 非接触加工 | ワークに直接触れないので変形が少なく、工具摩耗なし |
| 🎯 高精度切断 | 数mm以下の幅の精密加工も可能 |
| 🧼 クリーン加工 | 切削油や粉塵が出ない。衛生的で食品・医療にも対応 |
| 🤫 静音対策が可能 | 騒音や振動はあるが、水槽内で軽減できる |
✅ 加工に適した素材
純水ウォータージェットは、柔らかく、割れやすく、熱に弱い素材に最適です。
| 材料 | 加工可否 | 備考 |
|---|
| ゴム | ◎ | 変形せずクリーンに切断可能 |
| プラスチック・樹脂 | ◎ | 溶融や焦げなしで切断可能 |
| 紙・段ボール | ◎ | 折れ・めくれなく高精度切断可能 |
| スポンジ | ◎ | バリがなく、均一に切断可能 |
| 布・繊維 | ◎ | 裁断用途で多用される |
| 食品 | ◎ | ケーキ、冷凍食品、肉、パンなどの衛生的切断に使用 |
| フィルム類 | ◎ | 多層ラミネートフィルムにも対応可 |
| 金属・ガラス・石材 | × | 純水では硬度不足。→アブレシブが必要 |
🧭 主な用途・業界
| 業界 | 用途 |
|---|
| 食品 | ケーキ、冷凍食品、チーズ、肉、パン等の衛生的切断 |
| 医療 | 衛生材料、マスク、手術用布などの加工 |
| 繊維・衣料 | 高速・高精度の生地裁断(レーザより焦げがない) |
| パッケージ | 段ボール・紙パックなどの加工 |
| 自動車 | フェルト、遮音材、内装パネルの加工 |
| 電子部品 | フィルム、ゴムシートの微細加工 |
📈 加工性能の一例
| 項目 | 代表値 |
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| 水圧 | 3,000~6,000 bar(MPa) |
| ノズル径 | 約0.05〜0.15 mm |
| 切断速度 | 数百〜数千 mm/min(素材による) |
| 切断厚さ | 数mm〜最大20mm程度(素材次第) |
| 精度 | ±0.05〜0.2mm程度(用途による) |
📌 純水 vs アブレシブ ウォータージェット 比較
| 項目 | 純水WJ | アブレシブWJ |
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| 主な材料 | ゴム・食品・樹脂等 | 金属・ガラス・石材等 |
| 切断方式 | 水圧のみ | 水圧+研磨材 |
| 切断力 | 中程度 | 非常に強力 |
| バリ・熱影響 | なし | なし |
| ノズル摩耗 | 少ない | 多い |
| 加工速度 | 速い(薄物) | やや遅い(厚物) |
⚠️ 注意点・課題
| 内容 | 詳細 |
|---|
| 切断厚さの限界 | 硬い素材や厚物は不可。10〜20mm程度までが現実的 |
| ノズル詰まり | 超微細なノズルを使うため、水質と管理が重要 |
| 騒音・振動 | 高圧水による音が出るため防音対策が必要 |
| 水跳ね | 作業環境は防水仕様が望ましい |
✅ まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|
| 名称 | 純水ウォータージェット切断 |
| 特徴 | 非熱・非接触・高精度・クリーン |
| 主な対象 | 食品・樹脂・布・紙などの柔らかい素材 |
| 精度 | 高精度(±0.05mm程度) |
| 主な用途 | 食品加工、パッケージ、医療、車内装材など |
| 長所 | バリなし・衛生的・後加工不要 |
| 短所 | 金属や硬質材には不向き |