- 鋼と比較してアルミニウム合金は熱伝導率が高く、線膨張係数は
大きく
、弾力係数が小さい
ことから、溶接変形が生じやすい
。
- アルミニウム合金のアーク溶接のシールドガスとしてArの他に
ヘリウム
が用いられる。ヘリウムをシールドガスに用いた場合、溶け込み深さは増加
する。
- アルミニウム合金のアーク溶接では高温割れが生じやすいが、その防止策として母材にTiを添加して結晶粒を
微細化
する方法が有効である。
- アルミニウム合金の表面には酸化被膜が生じており、溶接を行うときにこれを除去する必要がある。アーク溶接時に母材の極性を
マイナス
にすると、クリーニング作用が働き、酸化物が除去される。
詳細
アルミニウム合金(Aluminum Alloys)は、軽量で加工性・耐食性に優れた金属材料で、自動車、航空機、建築、電子機器などあらゆる産業で使われています。
✅ アルミニウム合金とは?
アルミニウム(Al)に他の金属元素を加えて、強度・硬度・耐食性などを高めた合金のことです。
🧪 主な合金元素とその効果
合金元素 | 代表記号 | 効果例 |
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銅 | Cu | 強度・耐熱性の向上(ただし耐食性低下) |
マグネシウム | Mg | 強度・耐食性向上 |
シリコン | Si | 鋳造性・耐摩耗性向上 |
亜鉛 | Zn | 高強度化(7075など) |
マンガン | Mn | 耐食性と加工性向上 |
🧭 アルミニウム合金の分類
🔹 1. 加工方法による分類
種類 | 特徴 |
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展伸材用合金(Wrought Alloys) | 圧延・押出・鍛造に使用(板・棒・管など) |
鋳造用合金(Casting Alloys) | 鋳造による複雑形状に適用(エンジン部品など) |
🔸 2. 熱処理の有無による分類
種類 | 特徴と用途例 |
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非熱処理型合金(1000〜5000系) | 加工硬化により強度向上。耐食性◎。建材・容器・船舶など |
熱処理型合金(6000〜7000系) | 焼き入れ・時効処理により高強度化。航空・自動車・構造材など |
🔢 アルミ合金の代表的な系列(JISやAA規格)
系列 | 主な合金元素 | 特徴 | 代表用途 |
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1000系 | 純アルミ(99%以上) | 軽く柔らかい、電気・熱伝導◎ | 電線、反射板、化学装置 |
2000系 | 銅(Cu) | 高強度、耐食性△ | 航空機構造部材(2024) |
3000系 | マンガン(Mn) | 耐食性・成形性◎ | 屋根材、缶、厨房器具 |
5000系 | マグネシウム(Mg) | 強度・耐食性◎ | 船舶、車両、橋梁(5052) |
6000系 | Mg + Si | 中強度・加工性・耐食性バランス◎ | 建材、自転車、車体部品(6061, 6063) |
7000系 | 亜鉛(Zn) | 最高強度、耐食性△ | 航空機、スポーツ用品(7075) |
⚙️ 特性まとめ
特性 | 内容 |
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軽量 | 鉄の約1/3の比重(約2.7 g/cm³) |
耐食性 | 表面酸化皮膜によりサビにくい(特に5000・6000系) |
導電性・放熱性 | 電気・熱をよく通す(純アルミは銅に次ぐ) |
加工性 | 押出・切削・溶接などに適している |
非磁性 | 磁気の影響を受けない(電子機器に有利) |
⚠️ 注意点・欠点
注意点 | 内容 |
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高温に弱い | 200°C以上で強度が大きく低下 |
疲労強度が低い | 鉄鋼材料より繰り返し荷重に弱い |
電食に注意 | 異種金属との接触で腐食(特に銅・鉄と) |
一部合金の溶接性が低い | 特に2000系、7000系は溶接に工夫が必要 |
🏗️ 主な用途例
分野 | 用途例 |
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航空宇宙 | 機体構造(2024, 7075) |
建築 | 窓枠、パネル、屋根(6063, 5052) |
輸送 | 車体・船体・トラック荷台 |
電気機器 | 放熱板、ケーブル、筐体 |
一般産業 | 梱包材、缶、家具、梯子など |
✅ まとめ
項目 | 内容 |
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名称 | アルミニウム合金 |
分類 | 鋳造材/展伸材、熱処理型/非熱処理型 |
特徴 | 軽量・耐食・加工性◎、導電性・非磁性 |
欠点 | 熱・疲労に弱い、異種金属接触に注意 |
代表用途 | 航空、建築、機械、自動車、電機など |