ミグ溶接およびマグ溶接は、自動送給される細径ワイヤと母材との間にアークを発生させて溶接する方法
特徴
- active gas = 活性ガス であり、シールドガスにCO2とアルゴンの混合ガスを利用する事が多い
- 被覆アーク溶接に比べ、低温割れの防止に優れている
- ブローホール抑制の為、ワイヤにMnを添加している
- 薄鋼板のロボット溶接に多用されている
- ソリッドワイヤを用いたマグ溶接において、連続で多層溶接するとパス間が400℃以上になることがある。このパス間温度で溶接すると
⇒引張強さが低下して規定値以下になることがある。また、じん性も低下することがある。
詳細説明
半自動アーク溶接の一種で、炭酸ガスや混合ガスなどのアクティブガスをシールドガスとして使用する溶接方法です。金属の溶接部を酸化や窒化から保護しつつ、連続的に供給されるワイヤ電極と母材との間に発生するアーク熱によって溶融・接合します。
🔧 MAG溶接の基本構造
MAG溶接は、以下のような構成で行われます:
- 連続供給される溶接ワイヤ(電極)
- 母材との間で発生するアーク
- アークと溶融池を覆うシールドガス(主にCO₂やAr+CO₂混合ガス)
- 送給装置・溶接トーチ
🌡 主なシールドガス
ガスの種類 | 特徴と用途例 |
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CO₂(炭酸ガス) | 安価・深い溶け込み・スパッタ多め。建築・橋梁分野で多用。 |
Ar+CO₂混合ガス | スパッタ少なく、溶接ビードがきれい。精密構造物や薄板に適する。 |
✅ MAG溶接の特徴
項目 | 内容 |
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自動化しやすい | ワイヤ送給が連続自動で、ロボット溶接にも適している |
高能率 | 手棒溶接に比べて作業速度が速く、連続作業が可能 |
材料適用範囲が広い | 軟鋼、構造用炭素鋼、高張力鋼など多くの鉄系材料に対応 |
スパッタ発生 | 特にCO₂ガス使用時はスパッタが多く、後処理が必要になることがある |
熱影響が比較的大きい | 溶け込みが深い分、熱ひずみや変形には注意が必要 |
🏭 主な適用分野
- 自動車産業(車体、シャシー)
- 建築・土木(鉄骨、橋梁、プラント)
- 造船・鉄道
- 各種構造用部材の製造
⚠️ MAG溶接での注意点
注意点 | 内容 |
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ワイヤ・電流の設定 | 板厚や継手条件に応じて適切なワイヤ径・電流・電圧の選定が重要 |
シールド性の確保 | 風などによるガスの乱れや拡散を防ぎ、気孔・酸化などの欠陥を防止 |
溶接姿勢 | 下向きが最も安定。立向き・横向き溶接には熟練と調整が必要 |
スパッタ対策 | ノズル清掃、スパッタ防止スプレー、適切な電流設定などが求められる |
ガス流量の管理 | 適切な流量(一般的には15~25L/min)でシールド効果を保つ |
📊 他の溶接法との比較(概要)
項目 | 被覆アーク溶接(手棒) | MAG溶接 | TIG溶接 |
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作業速度 | 遅い | 速い | 遅い |
自動化適性 | 低い | 高い | 中〜高 |
難易度 | 低〜中 | 中 | 高い |
適用材料 | 鉄系中心 | 鉄系中心 | 幅広い(非鉄も可) |
外観仕上がり | 中 | 中〜良 | 非常に良い |
✅ まとめ
MAG溶接は、
- 高能率
- 深い溶け込み
- 自動化への適応性
といった利点があり、特に鉄鋼構造物や量産品の溶接に最適な方法です。一方で、スパッタや熱影響への配慮、ガス管理など、品質維持のための対策が重要です。